カニエ・ウェスト論 / 著者 Kirk Walker Graves
著者
Kirk Walker Graves, 池城美奈子 (翻訳)
出版社
DU Books
ページ数 / サイズ
231ページ / 18.4 x 13.1 x 1.5 cm
発売日
2019/8/30
定価
1800円(税抜き)
- 天才芸術家にして、当代一の憎まれ屋―その素顔とは? -
今世紀を代表するHip-Hopアーティスト、かつ、お騒がせセレブで、オバマ元大統領いうところのJackass(ばか、間抜け)であるKanye West(最近Yeに本名を改名)の 傑作"My Beatiful Dark Twisted Fantasy(MBDTF)"をとりあげた書籍。ディアンジェロ《ヴードゥー》がかけたグルーヴの呪文と同じく、本国のUSでは33 1/3シリーズとして出版されている。
構成的には、前半がはKanye Westについての評論であり、後半はMBDTFの各曲を1曲あたり10ページ前後を費やして深堀した解説になっている。 取材やインタビューなどは一切行わずに、外部から得られる情報や発言、Kanyeの作品自体に基づいた論旨に終始しており、その分、臨場感は期待できない。 また、他のアーティスト本と、だいぶ趣が変わっていて、評論に分類されるべき内容で、Kanye WestやMBDTFを題材にして、著者の主張が展開される内容になっている。 もったいぶった表現や、文学的表現が散見され、Kanye Westとは関係ない パートもあったりして、面食らうことも少なくない。きちんと理解するのは宗教的バックグラウンドも必要になる。
ここまでは否定的な印象ではあるが、他に類をみないの洞察力による評論ではあり、各曲について細部にまで行き届いた深堀がされていて、この辺には圧倒される。 また、付録的に掲載されている訳者・池上さんの解説やKanye年表などはファンにとっては楽しめるものになっている。